設計GLの決め方と後悔しないための基礎知識
マイホーム建設、夢が膨らむ一方で、専門用語に戸惑うことも多いのではないでしょうか。
今回は、その中でも特に重要な「設計GL」について解説します。
設計GLとは何か、なぜ重要なのか、そしてどのように決めれば後悔しないのかを、具体的な数値例を交えながら分かりやすくご紹介します。
これから家づくりを始める皆様にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。
設計GLとは何か?その重要性と影響
1: 設計GLの基本的な定義
設計GLとは「Ground Level」の略で、建物の基礎となる地盤面の高さのことです。
簡単に言うと、家の土台となる部分の地面の高さを示す指標です。
設計図面には「GL=BM+○○mm」のように表記され、BM(ベンチマーク)を基準とした高さで表されます。
BMは通常、道路の側溝やマンホールなどの不動点を基準(0)として設定されます。
例えば、「GL=BM+300mm」とは、基準点よりも30cm高い位置に建物の基礎がくることを意味します。
2: 設計GLが及ぼす影響範囲と重要性の解説
設計GLは、家の外観や使い勝手、さらには安全面にも大きく影響します。
GLが高ければ、敷地内は道路よりも高くなり、雨水の浸入リスクを軽減できます。
しかし、高すぎると、玄関へのアプローチが急になり、高齢者や小さなお子さんにとって不便な生活空間になる可能性があります。
逆にGLが低すぎると、駐車場へのアプローチが緩やかになり使いやすくなりますが、雨水の排水が悪くなり、浸水の危険性が高まります。
また、隣地との高低差も考慮する必要があり、隣地より低いと雨水や土砂が流れてトラブルになる可能性があります。
このように、設計GLは建物の基礎となるだけでなく、周辺環境や生活の利便性、安全性を総合的に左右する重要な要素なのです。
3: 設計GLを決める前に知っておくべきこと
設計GLを決める前に、以下の点を考慮することが重要です。
土地の状況と周辺環境:土地の形状、傾斜、周囲の道路や建物の高さなどを確認し、適切なGLを設定する必要があります。
特に、雨水の流れや浸入リスクを考慮することが重要です。
道路との高低差と排水計画:道路との高低差が大きい場合は、排水計画をしっかり立てる必要があります。
雨水が敷地内に滞留しないように、適切な勾配を確保する必要があります。
駐車スペースや玄関アプローチの設計への影響:GLは駐車スペースや玄関アプローチの設計にも大きく影響します。
GLが高すぎると、駐車スペースへのアプローチがきつくなり、車の乗り入れが困難になる可能性があります。
また、玄関アプローチに多くの段差が生じ、高齢者や小さなお子さんにとって不便になる可能性があります。
設計GLの決め方・注意点
1: 土地の状況と周辺環境の確認
まず、土地の形状や傾斜、周囲の道路や建物の高さなどを確認しましょう。
平坦な土地であれば、比較的簡単にGLを決めることができますが、傾斜地や高低差のある土地の場合は、専門家(建築士や測量士)に相談することが重要です。
土地の状況を正確に把握し、適切なGLを設定することで、後々問題が発生するのを防ぐことができます。
2: 道路との高低差と排水計画の考慮
道路との高低差を考慮し、適切な排水計画を立てましょう。
一般的には、道路よりもGLを高く設定することで、雨水の浸入を防ぐことができます。
しかし、高低差が大きすぎる場合は、擁壁などの対策が必要となる場合もあります。
排水計画は、雨水がスムーズに排水されるように、適切な勾配を確保することが重要です。
3: 駐車スペースや玄関アプローチの設計への影響
GLは駐車スペースや玄関アプローチの設計にも影響します。
GLが高すぎると、駐車スペースや玄関アプローチに急な勾配が生じ、使い勝手が悪くなる可能性があります。
逆にGLが低すぎると、雨水の排水が悪くなったり、浸水の危険性が高まったりする可能性があります。
そのため、駐車スペースや玄関アプローチの使い勝手を考慮しながら、適切なGLを設定する必要があります。
4: 将来的な生活の変化への配慮
将来的な生活の変化も考慮しましょう。
高齢になった場合、急な階段や段差は生活の負担となります。
小さなお子さんや車椅子を使用する可能性がある場合も、段差の少ない設計にする必要があります。
将来の生活スタイルを予測し、使い勝手の良いGLを設定することが重要です。
5: 費用面での検討と予算計画への組み込み
GLの変更は、外構工事費用に影響します。
GLを高く設定する場合は、客土(土を運び入れる)費用や擁壁工事費用などが発生します。
逆にGLを低く設定する場合は、掘削費用や排水工事費用などが発生する可能性があります。
そのため、費用面を考慮し、予算計画に組み込むことが重要です。
6: 建築確認申請との関係性
設計GLは、建築確認申請にも影響します。
建築基準法では、地盤面の高さを規定しているため、設計GLは建築確認申請の際に確認されます。
そのため、設計GLは、建築確認申請がスムーズに進むように、適切に設定する必要があります。
まとめ
設計GLは、家づくりの重要な要素であり、その決定は慎重に行う必要があります。
今回は、設計GLの定義、重要性、決め方、そして注意点について解説しました。
土地の状況、周辺環境、排水計画、駐車スペース、玄関アプローチ、将来的な生活の変化、費用面、建築確認申請などを考慮し、専門家と相談しながら、最適な設計GLを決めることが、快適で安全な住まいを実現するための第一歩となります。
後悔のない家づくりを目指し、しっかりと計画を進めていきましょう。
GLを決める際には、専門家への相談を忘れず、自分たちの生活スタイルや将来的な変化も考慮することで、より快適で安全な住まいを実現できるでしょう。